私たちの想い(ビジョンストーリー)
長期パートナーシップの
ビジョンストーリー
いま、世界で約22億人もの方々が視覚障がいを患っているというデータがあります。
それでも視覚障がいは、遠い世界に感じる方もいるかもしれません。
しかし晴眼者、いわゆる目が見える人も
メガネをかけたり、ドライアイになったりと、もはや目のトラブルは日常になっています。
また、歳を重ねると必ず目の機能は衰え、
“見えなくなる”“見えにくい”という状態にもなるのです。
緑内障や白内障など、生活に深刻な影響を与える問題を将来抱える可能性もあり、
実は多様な“見えない”“見えにくい”という問題は身の回りに存在しているのです。
このように、私たちは生きている間、“見えない”“見えにくい”と常に隣り合わせともいえるでしょう。
私たちの社会は見えていることを前提にシステムや仕組みが作られていますが、
見えている人はこのことに、なかなか気がつきません。
見えていることを前提にしていることとして、例えば
・音声案内や点字のない重要な書類や手続き、案内など
・相手が視覚障がい者である可能性を考えもせずに、道を譲り合わないこと
・視覚障がい者になると就労・資格取得の機会が極めて限定的であること
・自治体・民間での視覚障がい者への支援の仕組みがバラバラで、必要な情報へのアクセスが難しいこと
加えて世界を見渡すと
・眼科医療基盤が未整備であり本来は治る目の病気が早期治療しないことで悪化すること
・視覚障がい者に対する支援の仕組みが不十分であり社会経済的に困窮してしまうこと
・近視等の屈折異常であっても十分な矯正ができず学習・就労に大きな影響を及ぼすこと
などさらに多くの課題が存在します。
もし見えにくくなったら、 心理的にも物理的にも生きる上で負担がかかってしまう。
私たちはそんな社会で生きています。
これを引き起こしているのは、複雑に絡み合った課題です。
晴眼者の目線からすると、
『見えることを前提に世界を作ってしまっていることが当たり前になっている。』
『自分とは違う人に対して持つ無意識下のバイアスが消えない』
など、課題の存在に気づく機会が少ないのが現状です。
一方、視覚障がい者の目線からすると、
『ハンデを感じて、仕事の選択肢が少ない』
『心理的、物理的な不安があり自由に外に出ていけない』
という切実な課題を抱えていますが、声を上げにくい課題でもあります。
このような、晴眼者、視覚障がい者の間でそれぞれ起こってしまう課題があり、
それはお互いがお互いを見えていないということが根本的な課題だと考えます。
しかし Santen、JBFA、IBF Foundation が、パートナーシップを組むことで
この社会課題の解決に視覚障がい者と手を携え、
互いのフィールドに架け橋を架けることができると考えました。
その入り口が、ブラインドサッカー/ロービジョンフットサルです。
晴眼者と視覚障がい者が遠慮なく体で闘い、切磋琢磨し、敬意を表し、
本気で1点をもぎ取りに行く。
そんなフィジカルとソウルをぶつけ合うスポーツのフィールドは、
個の違いと融合をさらに高い次元へ持っていき、大きく広い可能性に満ちています。
そして同時に思いました。
このフィールドは、現代の視覚情報に頼っている現状を打破し、
「新たな“見える”を創る」という新しい体験を創出できる、
可能性に満ちたフィールドにもなりうると。
私たちはブラインドサッカー/ロービジョンフットサルというスポーツを出発点にすることで、
視覚障がい者にとってのスポーツ、新たな職業、イノベーションへの参画など
多様な社会参画への架け橋となります。
具体的には、ブラインドサッカー/ロービジョンフットサルという
視覚障がい者及び晴眼者がお互いの強みを理解し合う身体的体験の場を
全国へ、世界へ、そしてバーチャル空間へと広げていきます。
スポーツという場を通じて、
溶け合う空間は無意識バイアスを持った人を減らしていくことができます。
次に、
視覚障がい者に関係のある企業と協働してイノベーションを起こすラボを設立します。
民間企業やNPO、自治体、学校などの協働に、
視覚障がい者の視点を入れることで、まったく新しいサービスを発想することも可能です。
それは視覚障がい者の社会参画の機会を増やすことにも繋がります。
ブラインドサッカー/ロービジョンフットサルのフィールドは、
新たなイノベーションの実験場ともなります。
そこで生まれた新たなサービスにより、視覚障がい者がこれまでアクセスできなかった
サービスにアクセスできる幅を拡大したり、視覚障がい者だからこそ強みを発揮できる
新たな職業を生んでいくことを目指します。
これらの活動を通じて、両者が混じり合い、
切磋琢磨しあえる場を増やしていくことができると信じています。
具体的には、以下の3つを実現していきます。
・共体験でそれぞれの個性や強みを理解する
ブラインドサッカー/ロービジョンフットサルによる共体験の場を拡張し、
視覚障がいを強みの違いと認知した人を劇的に増やすこと。
・見えるに関するイノベーションを創出する
見えるのイノベーションを通じて、視覚障がい者向けの新たなサービスを創出し、
見えるに関する新たな職業を創出すること。
・視覚障がい者のQOLを向上する
究極的には、社会全体としての視覚障がい者に対する無意識バイアスが無くなり、
見える・見えない関係なく社会への参画が出来るようになること。
“見える”の違いこそ、多くの可能性の光。
視覚障がい者の眼差しを活かし、
晴眼者が気付かぬうちに作ってしまっている視覚障がい者との壁、
その壁が溶けた晴眼者と視覚障がい者が共生する世界を、視覚障がい者と共に作っていく。
“見える”と“見えない”の壁を溶かし 社会を誰もが活躍できる舞台にする。
そんな社会を実現していきます。